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2021-05-20
「事業再構築補助金 ポイントは政策点」
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この記事はライターの徳森智美が執筆しました。

略歴:東京都出身、上智大学文学部卒。
卒業後に渡英。帰国後、国内コーチングの草分けである(株)コーチ・エィでコーチングと法人営業の経験を積んだのちに、高校生交換留学団体へ転職。国費や地方自治体から受託した留学奨学金事業の運営に携わり、海外現地受入団体との交渉や留学準備期の学生の育成、応募書類の添削指導などを行った。
2014年に結婚を機に兵庫県に移住してからは、フリーのコーチとして、一般企業・教育機関・個人など、幅広い層とのセッションや研修に従事。現在は(株)シザコンサルティングの外部パートナーとして、同社の補助金事業のサポーターを務める。


今年の事業再構築補助金事業・第1期では、3企業様の申請書作成サポートをさせて頂きました。

どの企業様も、いち消費者として是非お世話になりたい!と思う素敵な事業を既にされており、これから行おうとしているビジネスも大変魅力的な内容でしたが、「採択が狙える事業計画かどうか」という点において、難しさを感じていらっしゃるようでした。
このコラムでは、私が3社様のサポートを担当してみて実感した、おすすめの「審査項目」との向き合い方をご紹介いたします。

政策点とは

審査項目の中で、皆さんが特に難しさを感じていらっしゃったのは、以下の3つの観点を事業計画にいかに盛り込めるか?という部分だったように思います。

●イノベーション促進
●地域経済への貢献度
●グローバルニッチ


これらはそれぞれ、「事業再構築補助金 公募要領」の審査項目に「(4)政策点」として挙げられている5項目のうち、①②④⑤にあたり、「政府が推進している政策と合致する内容の取り組みであるかどうか」を問われているものです。

表にして整理すると以下のようになります。

事業再構築補助金,政策点

ビジネスという観点で考えると、メインの審査は「(2)事業化点」、「(3)再構築点」で行われるのだと考えられます。
対して「(4)政策点」は一見するとビジネスそのものとはあまり関係がないようにも思えます。
・・・しかし、最終的に私は、この「(4)政策点」こそ、最も「採択される事業計画策定のヒントになる」項目ではないか?と思い至りました。

実際のクライアント様の反応は?

ヒアリングの場で、「政策点」の内容を一緒に確認しつつ「このような取り組みはないですか?」とストレートに伺ってみると、ほとんどの方が、「え・・・わかりません」、「そんなん、ないです」と、いったような回答をされます。

確かに、このコロナ禍の厳しい経済状況の中、目の前の課題の解決に日々全力で集中していらっしゃる経営者の皆様にとっては「イノベーション」「グローバル」などといった単語を急に並べられても、直接関係のない、遠いお話のように感じるものなのだと思います。

でも、そうやって遮断してしまうのは、少し、お待ちいただきたいのです。


そして、代わりに是非、この3つの観点を「事業をより良いものに磨き上げるためのお題」だと思って、改めて内容を見直し、ディスカッションを重ねてみて欲しいのです。

本当に何も、ご自身の事業にかすりもしない内容でしょうか?

既に盛り込んでいる内容の中に、少しでも関連があるものはないでしょうか?

もしその観点を盛り込むとしたら、誰に聞けば、誰に頼めば、助けてもらえそうでしょうか?

以上はほんの一例ですが、そんな問いを繰り返しながら、事業計画、関係者、会社が置かれている環境、市場、ユーザのニーズ、トレンド・・・様々な視点でチェックをしていくうちに「・・・・あっ!」という閃き、気づきが生じることがあるのです。


実際、どのクライアント様においても、丁寧なディスカッションを数回行って、書き直し、練り直しをする中で、ふとしたきっかけで計画が一気に進む・一気にブラッシュアップされる瞬間がありました。
そうして出来上がった申請書は、政策点のほとんどを網羅した内容になっていました!

「政策点」をどう捉えるのか

内容を見て頂くと分かって頂けるように、「政策点」を満たす事業とは「ポストコロナ時代のビジネス」だともいえます。
そして、コロナ禍・コロナ後でも継続できる事業をし、生き残っていくために、どの会社にも必要な視点だ、ということも言えそうです。
審査員に「今後の日本経済に必要なビジネスだ」と認められ、政策の推進に協力的・意欲的に取り組む企業であるという印象を持ってもらうことに成功すれば、採択に近づくのは自明かと思います。

事業計画を練る場合にはいろいろな進め方、手法があると思います。
どのやり方が正解だ、ということは決してないはずですが、このコラムでは、この「政策点」を「事業計画のヒント」と捉えて頂くことを、ひとつの有効な方法としておすすめしたいと思います。
ある程度の方向性が定まったのち、「イノベーション促進」「グローバルニッチ」「地域経済への貢献度」、これら3つの観点をヒントにして、計画をブラッシュアップする工程を持つことが、「採択されやすい事業計画を立案する」近道かもしれません。
そして、中小企業や個人事業主など、比較的小さなビジネスをしている方にとっては特に「自分の事業も社会に大きく貢献している」ということを、改めて実感される機会になりそうです。

おわりに

文字通り、この補助金事業は「事業の再構築」が目的です。その再構築の内容を申請書のフレームに合わせてプレゼンテーションしていくのですが、そのプロセスを通じて起こるのは、新事業の誕生だけではないと感じました。

この補助金事業では、本コラムで取り上げた3つの観点からも見てとれるように、自身が営む事業単体のことだけではなく、他社、地域社会、グローバル経済との繋がり、関与などが重要視されていることが分かります。
よってこれらの観点で事業を改めて捉え直すプロセスで、これまでの経営者様の考え方や方針、企業のスタンダードまでもが変わりうる可能性も大きいと感じたのです。

誰しもが、大きな変化に対しては脳が拒否反応を起こして、適応に多少の時間がかかるものです。そのため、この補助金事業では、申請書を仕上げるのが難しい面もあるのかもしれません。
そして、それが補助金事業で強く求められるほど、現在、私たちは大きな変革期の最中に生きているのだろうとも思います。

私は、新しい事業で社会に貢献し、停滞している経済を動かしていこうとしていらっしゃる、全ての経営者様・ご担当者様を心から尊敬しています。
そして、その皆様にとって、このコラムが少しでもお役に立つことがあればこれ以上嬉しいことはないと思い、僭越ながらコラムを書かせて頂きました。
もし直接何かお手伝いができるご縁があれば、より一層幸いです。
その時には、まだ現時点では気づけていないかもしれない、事業計画のタネを見つけるお手伝いをさせてください。

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