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2021-07-08
「事業再構築補助金 1次公募で採択された補助事業計画の共通点」
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この記事はライターの徳森智美が執筆しました。


略歴:東京都出身、上智大学文学部卒。卒業後に渡英。

帰国後、国内コーチングの草分けである(株)コーチ・エィでコーチングと法人営業の経験を積んだのちに、高校生交換留学団体へ転職。

国費や地方自治体から受託した留学奨学金事業の運営に携わり、海外現地受入団体との交渉や留学準備期の学生の育成、応募書類の添削指導などを行った。

2014年に結婚を機に兵庫県に移住してからは、フリーのコーチとして、一般企業・教育機関・個人など、幅広い層とのセッションや研修に従事。現在は(株)シザコンサルティングの外部パートナーとして、同社の補助金事業のサポーターを務める。


前回担当させて頂いたコラムでは「事業再構築補助金 ポイントは政策点」というタイトルで、おすすめの「審査項目」との向き合い方を紹介させて頂きました。

そして、今回のコラムでは、1次公募の結果、採択された補助事業計画を振り返って「採択された補助事業計画の共通点」だと思ったことをご紹介したいと思います。

件数でいえば、私が実際に作成に関わった2件のみの振り返りではありますが、この生の声が皆さんの参考になればと思い、筆を執ります。


さて早速ですが、私が感じた採択された事業計画書の「共通点」をまとめたいと思います。

事業の実現可能性に説得力があった

上は、「事業再構築補助金の概要」の冒頭、「事業目的、申請要件」の項目を抜き出したものです。

 

この補助金事業は、「コロナ禍の影響で厳しい状況にある」事業者を対象にした事業ですが、その目的は「事業者の救済」ではなく、あくまで「日本経済の構造転換を促すこと」です。

もし国側からこの事業を見たとしたら「あなたのビジネスで日本経済を盛り上げてくださいね」「国の経済のために貢献できる事業であるならば、おおいに助けます」とメッセージかと思います。

 

ですから、こちらは「日本経済の構造転換」に貢献できる「思い切った事業再構築」ができる事業者だという証明と、実現可能性の高い事業計画の提示が必須になるのです。

 

その点で、採択された補助事業2件は、事業の内容が分かりやすく、事業の実現可能性の点ではデータや数字も使って説得力があったと思います。

改めて読んでいて、「現在地(既存の事業)」と「目的地(再構築後の事業)」を繋ぐ「道のり」がはっきりと見えるなぁと思いました。

 

具体的な工夫の例でいうと、「ターゲット」や「市場規模」について、数字や客観データで裏付けをしっかりとするよう心がけたり、「社内の体制」や「社外の体制」を図や表を使って一人ひとりの役割まで詳細に説明したり、「実施スケジュール」では各工程に関して担当者や現在の進捗までをかなり具体的に書いたり、といったところでしょうか。

「想定される課題」も、具体的に書けるということはそれだけ現実的にシミュレーションができている証明になりますので、説得力を増すためにはとても重要だと書いていて気づかされました。

そうすることで審査員にも実現ができる事業だと信用して頂ける計画となったと思います。

 

審査員は「大切な税金の投資先」を決めるために審査をしている、といっても言い過ぎでないと思います。

ですから、数値計画の綿密さはさることながら、ライターとしては、援護射撃として「なぜこの機材が必要なのか」「なぜこれが妥当なスペックであるか」等、費用の裏付けができるような説明や構成も心がけました。

加えて、実際の写真がなければイメージ写真を利用する、図解するなども有効ですし、長すぎる文章は表にして見やすくするなど「パッと見でもある程度イメージが持てる」ことを意識して情報を盛り込むことで説得力を増せたように思います。

 

ライターの私にその意味・用途がよく分かっていない状態だと、きっと審査員にも伝わらないので、イメージがつかない部分はクライアント様に何度か質問をさせて頂き、説明を受けたり、実際の様子を見せて頂いたりして理解を深め、最適な見せ方を試行錯誤したのも功を奏したかもしれません。

 

できれば「その事業をよく知らない人の目」で見てもらい、感想を聞き、「こちらが伝えたいように伝わっているのか」の確認することなども、手軽ですが、説得力ある内容に近づけるための第一歩になると思います。

新規性要件を満たすことはもちろん、革新性が高かった

この補助金事業では「思い切った事業再構築」であるかを問うための「新規性要件」は当然設けられていますが、ものづくり補助金で見られるような「革新性」を問う要件はなく、その事業者にとって「新規」であればよいということになっています。

 

しかしながら、採択された2案件は共通して「他社にない取り組み」「地域内での先進事例」といった「革新性」の高い取り組みでした。

 

これは、この補助金事業は「日本経済の構造転換を促すこと」を目的としているので、革新性がある取り組みのほうがより一層、その目的達成に近いという印象を与えることができるということかもしれません。

当然「市場における優位性」や「競合との比較」においても強い打ち出しができるため、「革新的な取り組み」であることをデータや数値と共に伝えられれば、それはアドバンテージになると思った結果でした。

新事業と既存事業との間に明らかなシナジー効果があった

いずれの採択事業も、経営者の経歴や強み、これまでの取り組みからのノウハウ、社内のリソースなど、「既存の事業を活かした新事業」であることが無理なく語られており、さらには、「補助事業を実行することで、新事業と既存事業、双方に良い影響が生まれる」ことが分かりやすく書けていた、と思います。

新たな事業が既存の事業の妨げになることなく、「むしろ既存事業があるからこその新事業である」という打ち出しができると、前項の実現可能性の観点でも説得力が増すものだと思いました。

 

「思い切った事業再構築」でなければ…!!ということばかりが頭にあると、補助事業を策定した後で、「で、既存の事業とか、元々持っていたリソースとか、強みとかとは、どう繋がるのだっけ?!」と、一瞬、見失ってしまったりするのですが(単に、私がそうなってしまっただけかもしれませんが…)、新事業に取り組むきっかけや、普段の業務の内容などを丁寧に伺って行けば必ず「糸口」が見つかる部分だとも感じたので、忘れずに反映させるべきだと思います。

おわりに

このコラムでは、私が「採択された案件の共通点」だと考えた3つのポイントを紹介させて頂きましたが、実は、これらは全て、審査項目でいうところの「事業化点」に該当していました。

 

もし「採択への近道として、何をすることをすすめますか?」と問われれば、私は「申請要件を満たし、審査点を丁寧にひとつひとつ盛り込むこと」と答えると思います。結局は、基本に忠実に、審査項目をよく読み込み、申請書のフレームワークに沿ってしっかり計画する、に尽きるということです。

 

第一回公募の結果は採択率36%と厳しく、「難しすぎる…」「うちにはできない…」と諦められる事業者様の声もある、と伺います。しかし、以上のような考えから、私は「新たにチャレンジしたい事業さえあれば、どの事業者様にも可能性があり、挑戦するメリットが大きい補助事業である」と思っています。

 

この補助金事業の一連の申請プロセスに関わらせて頂いて、私は、これは補助金申請のための“単なる書類作業”ではなくて、“結果を出すために必要な、実践的プランニング”だという実感を持っています。

 

コロナ禍でも、コロナ後でも…ビジネスを継続させて行くために、おそらく多くの事業者様に必須となる重要な視点が得られ、補修・強化ポイントの洗い出しまでできるのが、この補助金事業の大きなメリットの一つであり、私が挑戦をおすすめしたい理由です。

 

 

この補助金に採択される事業は、今後の日本経済を牽引し、支えていくものなのだと思うと、そのたった一部でも関わらせて頂けていることをとても誇らしく思い、ワクワクします。

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