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もうすでにめでたく採択を勝ち取られ、補助事業を開始されておられる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
この補助金に限ったことではありませんが、補助金は採択されてからがスタートです。
補助金は原資が税金であるため、様々なルールや手続きをしっかりと守っていかなくてはなりません。
これから申請されるという方も多いと思いますが、申請する前から採択後の手続きを理解しておくこともとても重要です。
この記事は川原拓馬が執筆しました。
今回は、取得資産の取り扱いについて記載します。
なお、ここではすべての決まりについて触れるわけではありませんし、制度は変わる可能性もあります。
必ず公募要領や手引きなどをご自身で確認するようにしてください。
資産処分について
まず、取得した資産については5年間は処分できません。
補助事業の手引きには以下の記載があります。
「取得財産のうち、単価50万円(税抜き)以上の建物、機械等の財産又は効用の増加した財産(処分制限財産)は、原則として処分制限期間が終了するまで管理しなければなりません。」(補助事業の手引きより)」
事情があり、やむを得ず資産を処分する必要がある場合には、必ず事前に事務局の承認を得るようにしてください。
なお、処分対象の資産にかかる補助金については原則として返納する必要があります。
原則は処分できないものと考えておきましょう。
資産として処理すべき対象とは
資産として取り扱う場合には色々と守るべき内容や報告内容が増えます。
では、どのような支出が資産なのでしょうか。
少し会計的な話になってしまいますが、機械や建物であれば悩むことなく資産として処理されると思うのですが、ご質問が多いのが広報費や外注費にかかる支出です。
資産として処理するのか費用として処理するのか、悩むケースがあります。
例えば100万円で作ったウェブサイトは資産として取り扱うべきなのか。
外注して作ったシステムは資産として取り扱うべきなのか。
事務局に問合せをしてみましたが「資産性のあるものということで事業者様が認識されているものが資産になりますので、認定支援機関とよく相談してください」という回答でした。
うーん、回答になっているようななっていないような。。
例えばウェブサイトに関して、弊社では以下のような見解です。
会社や商品の宣伝を目的とした企業ウェブサイトで、1年に1度以上更新するものであれば広告宣伝費(費用計上)として取り扱うことが一般的かと思います。
一方で、プログラムが入っているウェブサイトであればソフトウェア(資産計上)として取り扱うことが一般的かと思います。例えば、自社商品の検索機能、ログイン機能、オンラインショッピング機能といったものが該当します。
ただし、この辺りは微妙な解釈による部分もあります。
補助金においては、後々の会計処理との整合性が重要になってきますので、必ず顧問税理士に確認するようにしてください。
担保権の設定について
本補助金では建物が対象として認められています。
建物を取得される際には金融機関から借入を行い、担保権が設定されることも多いでしょう。
この担保設定に関しても注意が必要です。
担保権の設定に関しては以下の記載があります。(補助事業の手引き)
「補助事業遂行のため必要な資金調達をする場合に限り、担保権実行時に納付することを条件に認められます。ただし、担保権設定については、「様式第11 担保権設定申請承認書」を事前に、事務局に提出し、担保権設定の承認を受けなければなりません。(事後承認はできません。)なお、補助事業により整備した施設等の財産に対して根抵当権の設定を行うことは認められません。」
ポイントは
・担保権の設定には事務局の事前承認が必要
・根抵当権の設定は不可(普通抵当のみ)
の2つです。
これらを知らずに、事務局に届け出ることなく金融機関から借入を行い根抵当権を設定した場合は、補助金が無効となってしまう可能性があります。
担保権の種類が根抵当権なのか普通抵当権なのかは融資判断にも影響しますので、補助金の申請時点から金融機関とその辺りも含めて話を進めておく方が良いでしょう。
さらに、募集要項には
「根抵当権が設定されている土地に建物を新築する場合は、根抵当権設定契約において、建設した施設等の財産に対する追加担保差入条項が定められていないことについての確認書を交付申請時に提出する必要があります。 」
という記載があります。
つまり、「補助対象の建物に担保を設定しないから大丈夫だ」と思っていても、
土地に根抵当権が設定されている場合には、追加担保差入条項、つまり「この土地に建物を建てる時には建物も担保に差し入れしてね」という文言が入っていないか、確認が必要であるということです。
ちなみに、根抵当権から抵当権への変更や、追加担保差入条項の免除、といった手続きは簡単にはいきません。
なぜならば、金融機関から見れば、担保権を軽くするということは保全の減少を意味し、これは与信行為、すなわち融資をすることと近い意味になるからです。
認められるかどうかは、現在の取引状況や会社の格付け、今後の取引方針などによってくるでしょう。
「しまった!」を避けるためには
補助金は採択されてからが、本当に大変です。
事務処理は後戻りが出来ませんので、申請段階から採択後の手続きも見据えて進めていくことが重要です。
ものづくり補助金等で採択後の手続きに関するサポート実績が豊富で、会計処理や金融機関取引にも強い認定支援機関を選ばれることをお勧めいたします。