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2021-01-31
事業再構築補助金とは?
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事業再構築補助金において、注目度の高まっている認定支援機関。
この記事では認定支援機関について解説します。

この記事は代表の川原拓馬が執筆しました。

こんにちは、コンサルタントの川原です。

第三次補正予算が可決されました。
その中でも大注目は、なんといっても中小企業等事業再構築促進事業の補助金です。

まだ公募要領が出ておりませんが、このブログを読めば「ざっくり」とポイントが分かるようにまとめてみましたので、ぜひお読みください。

目次
①新分野展開や業態転換等の思い切った事業再構築を支援
➁売上減少要件あり
③どの類型に当てはまるかにもよるが、最大6000万~1億円
④補助率は1/3~2/3
⑤建物や広告宣伝費にも使える
⑥予算規模は1兆円超
⑦募集は春頃開始。交付決定前の実施分まで遡ることは不可?
⑧補助金の趣旨や背景から申請書の内容や採点基準を予想

上記の項目に沿って、主観的な予想も踏まえて少し解説したいと思います。(正確な情報は募集要項等が出た後にご確認ください)
 ではなぜ予想を書くかというと、補助金は早めに準備に取り掛かることが重要であると考えており、予想であっても(仮に外れても)それによって少しでも早く準備ができるのであれば、有益な情報になりうると考えているからです。
 未確定であるということである程度は含みを持たせつつも、できる範囲で早めに進めていくことが大事でしょう。

①新分野展開や業態転換等の思い切った事業再構築を支援
 「事業再構築って具体的にはどういうこと?」

 この補助金の趣旨として、「新分野展開や業態転換等の思い切った事業再構築を支援」とあります。
 コロナで構造的に厳しい状況に置かれている企業が、ポストコロナ・ウィズコロナに対応するために行う思い切った新規事業立ち上げや事業転換を後押ししようという意図ですね。
 例として挙げられているのは
・店舗型衣料品店が、ネット販売等に業態転換
・航空機向け部品製造の鉄工所が、ロボットや医療関係部品製造部門を立ち上げ。
・レストランがオンライン注文サービスを開始
といったケースです。
 
 つまり、世の中にない事業、あるいはその会社にとって全く新しい事業、でなくとも、その企業の強みを活かしながらコロナによる環境変化に対応しようとする取り組みであれば十分に対象になるということが言えそうです。

➁売上減少要件あり
 「売上減少って何をもって言えるの?」

 申請できる企業の要件として、コロナ前に比べて売上が減少していることが求められています。
 具体的には、「申請前の直近6カ月のうち任意の3カ月の売上高が、コロナ以前の同3カ月と比較して10%以上減少している」となっています。持続化給付金にやや近い書き振りですが、ここでいうコロナ以前の同3カ月が具体的にいつ(2020年?2019年?)を指すかはまだ分かりません。

③どの類型に当てはまるかにもよるが、最大6000万~1億円
 「私の取り組みは最大いくらが狙えるの?」

 この補助金では、通常枠、卒業枠、グローバルV字回復枠、という3つの類型が設けられます。類型によって上限額が変わりますが、恐らく6000万の通常枠が数としては多くなるでしょう。
 詳しくはこちらのサイトをご確認ください。

 ただし、審査においては実現性が問われます。
 投資金額が体制面・財務面などで申請者にとって過大であるとみなされる場合は審査面で厳しく見られることになると思いますので留意が必要です。
数値計画をしっかりと立てながら検証していきましょう。

④補助率は1/3~2/3
 「対象経費は全てカバーされるの?」

 補助率も類型によって異なります。中小企業の場合は2/3の補助率となります。
詳しくはこちらのサイトをご確認ください。

⑤建物や広告宣伝費にも使える
 「一体何に補助が出るの?」

 この補助金の特徴の一つとして、建物や広告宣伝費が対象になることが挙げられます。ものづくり補助金をはじめ、ほとんどの補助金は建物が対象になりません。「この取り組みに限定して用いる費用のみが対象となる」というのが補助金の原則としてあるため、どうしても建物や車両、PC端末といったものは汎用性が高いためです。
 建物を対象にしていることは、「思い切った事業再転換を強烈に後押ししよう」という制度設計者の強い意志を感じます。
 あわせて広告宣伝費も対象となることも、投資倒れにならないよう、売上確保もしっかりと支援しようという意思の表れでしょう。
 これらが対象になることにより、思い切った事業再構築の取り組みに対しトータルで資金的に支援を受けられることになりそうです。
 ただし、費用内容は取り組みとの整合性が重要です。
 割合の大きい支出については「その取り組みにとってその支出が極めて重要である」ということが言えるかどうかがポイントになるでしょう。

⑥予算規模は1兆円超
「なぜそんなに注目されているの?」

 この補助金には1兆円超の予算がついています。これは、ものづくり補助金、持続化補助金、IT補助金の3をあわせた中小企業生産性革命推進事業よりも大きな予算規模であり、極めて大きな予算がつけられていると言えます。
 ぜひチャレンジしたい補助金であると言えるでしょう。

⑦募集は春頃開始。交付決定前の実施分まで遡ることは不可?
「実行してしまった投資は対象にならないの?」

 予算が可決し、事務局の募集が始まりました。募集時期は春頃としか分かりませんが、かなりの応募件数になることも想定されますし、補助金の設置趣旨からして、先行受付等が設けられる可能性もありますので、早めに応募できるように準備しておきましょう。
 また、今年度の持続化補助金では交付決定前まで遡って事業対象とすることができましたが、今回については、金額も大きいですし、後述しますが設置背景等を鑑みても遡って対象とする可能性は低いのではないかと見ています。

⑧補助金の趣旨や背景から申請書の内容や採点基準を予想
「申請書ではどういうことをアピールすれば良いの?」

 この補助金の設置背景は、既述のとおり、ポストコロナに対応できるよう、事業再転換や新規事業立ち上げを後押ししようとするものです。
 そして要件を見ると
・一定程度以上、売上が減少していること
・認定支援機関等と連携して事業計画を策定していること
・一定程度以上、付加価値を増加させること
 となっています。
 そこから申請内容を予想してみます。
まず、事業計画の策定が求められていることから、給付金のように、要件を満たせば自動的に給付されるというようなものにはならないことが予想されます。趣旨に沿ったフォーマット(申請書)での事業計画策定が求められるでしょう。
 持続化給付金の後継ではないか、というような話も聞かれますが、資金使途を縛るだけでなく、”思い切った”事業再構築かどうか、は定性的な評価になりますので、文章に基いた審査がされるのではないでしょうか。
 審査項目としては、趣旨を鑑みると、以下のような内容になるものと予想しています。
・既存事業からの”思い切った”事業転換と言えるか
・事業転換の内容は、ポストコロナ時代の外部環境に沿ったものといえるか
・事業転換によって、相応のビジネス成長が見込まれるか
・事業転換には実現性が認められるか(付加価値増加、体制、資金計画、既存経営資源の活用など)

 余談ですが、菅総理のブレーンにデービッド・アトキンソンという人がいますが、中小企業に対しての非常にはっきりとした思想をお持ちの方です。

・国の経済は、「人口増加」と「生産性向上」の2つの要因によって成長します。
・この負担を背負いながら、貧困に陥ることなく生活を維持していくためには、生産性の向上に集中的かつ徹底的に取り組まなくてはいけません。
・日本に限らず、海外のどの国のデータを見ても、小規模事業者より中堅企業のほうが生産性は高く、中堅企業より大企業のほうが生産性が高いことを確認できます。
・冷静な目で見ると、中小企業は日本という国にとって、宝でもなんでもありません
・宝なのは、大企業と中堅企業です。特別な理由がないかぎり、小規模事業者や中小企業に「宝」と言えるような価値はありません。(東洋経済オンライン「「日本は生産性が低い」最大の原因は中小企業だ 誰も言い出さない「生産性の衝撃的な本質」デービッド・アトキンソン」)

 この補助金の制度設計にはこの辺りの思想が色濃く出ているのではないでしょうか。この主張に賛成か否かは別として「日本の成長には生産性向上が必要であり、それの足かせになっているのが規模の小さな企業が多すぎることである」という考え方です。
 書籍も出されていますので、ご一読いただくとこの補助金の理論的背景を理解する一助になると思います。

 さて、話をもどします。
 ものづくり補助金の賃上げ要件ように、計画達成できない場合のペナルティ(補助金の返還)が求められるかどうかは気になるところですが、恐らくないのではないかと予想しています。
 賃上げ要件は「企業として付加価値が増加しているにも関わらず賃上げに反映していない」場合にペナルティが課せられるという内容でした。
 一方で、本件では付加価値額増加そのものを対象にしているので、付加価値が増えなければそもそも補助金返還の原資を生み出すこともできず現実的ではないと思われるからです。ここをどう縛りをかけてくるのかは注目したいところで、応募するかどうかの判断にも少なからず影響を及ぼすでしょう。

 以上、個人的な予想も含めて事業再構築補助金について書いてみました。もちろん、全く違う公募要領になる可能性も大ですので悪しからず…。

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