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2021-02-25
事業再構築補助金に採択される取り組みと採択されない取り組み
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(この記事は2021年2月25日に更新しました)

この記事は代表の川原拓馬が執筆しました。

事業再構築補助金のご相談を本当に沢山いただいております。

募集要項はまだ出ていませんが、以下の理由から、先行して既に申請書のたたき台を作り始めています。


・取り組みの性質上、新規事業やビジネスモデル変革であることから練り上げに時間がかかること
・しっかりとした事業計画書が必要であること
・応募期間が非常に短い可能性があること

すでに数多くのご相談をいただき、公表されている事業再構築補助金の概要(リンク)に記載されているポイントを基に、案件の練り上げを行っています。

※現時点の予想に基づく申請書作成オンラインセミナーや申請準備フォーマットは弊社の補助金申請支援サービスの”補助カツ”で提供しています。

自分が審査員になったつもりで、補助金の趣旨を踏まえて相談に乗っていると、自分なりの採択されそうな取り組みと採択が難しそうな取り組みがおぼろげながら見えてきました。(もちろん現時点での情報に基づく予想です)

採択が期待できそうな取り組みは、お話を聞きながら、以下のようなストーリーが組み立てられます。

既存ビジネスがコロナ影響で厳しい状況にあるが、
これまでに培った強みや経営資源を活かして、
ポストコロナに合致した(コロナによる社会的経済的変化に対応した)、
“思い切った”取り組みを企画しており、
客観的に見て実現性の高い具体的なビジネスプランが立案されている
取り組み

です。

長いですね笑

でも、長いですが、上記のように色んなポイントを繋げて美しいストーリーを描ける取り組みが、補助金に採択される案件としても、良い戦略としてもふさわしいと思うんです。
(この辺りの戦略構築に関しては、「ストーリーとしての競争戦略 楠木健 東洋経済新報社」がオススメです。)

僕は初回のご相談では、そもそも要件に当てはまるかどうか、そして、まずはこういう大きなストーリーを描けるかどうか、極論すれば、この2点だけを探るヒアリングを行っています。

一方で「このままでは厳しいのかなぁ」という取り組みは以下のようなパターンが多いです。


1.現状ビジネスの延長線上で、ビジネスモデルの変革や新規事業とは言えない
2.新しい取り組みであるが、既存ビジネスの強みが活かされていない
3.資金使途が取り組みに直結しておらず、投資対象の汎用的が高い
4.取り組みが「コロナ前の世界型」である
5.取り組みが抽象的である


1.現状ビジネスの延長線上で、ビジネスモデルの変革や新規事業とは言えない
 これは、例えば広報戦略や、生産性改善に留まってしまうような取り組みです。
この補助金は「コロナ以前に適合したビジネスモデルから、ポストコロナ型のビジネスモデルへの変革」を後押しするものです。
 ですので、ビジネスモデルを変えることなく、施策レベルの実施に留まる取り組みは弱いのかなと思います。

2.新しい取り組みであるが、既存ビジネスの強みが活かされていない
 これは、上記とは真逆のパターンとも言えます。
全く新しい取り組みであるものの、これまで培ってきた経営資源やノウハウを全く活用していないものです。この補助金は、変革を求めつつも、既存の経営資源の活用が必要となっています。まったくこれまでの事業と無関係の取り組みは実現性に乏しいということになるでしょう。

3.資金使途が取り組みに直結しておらず、投資対象の汎用的が高い
 このパターンもけっこう多いです。特に建物。
そもそも補助金では、汎用性の高い取り組みは対象外というのが原則としての考え方です。
「この取り組みに不可欠な支出を支援する」という考え方です。
従って、建物の場合は「この取り組みにどうしてもこの建物が必要。どうしてもこの改装が必要」ということがしっかりと言えないと審査上は厳しいのではないでしょうか。
ましてや建物は金額も大きいので、資金使途が弱いと「こじつけ感」があるような印象になってしまうでしょう。

4.取り組みが「コロナ前の世界型」である
 これは例えば「(通常の)飲食店を開業する」というようなパターンです。
「コロナ前からいつかやろうと思っていたらすごい補助金が出たので」というケースが多いように思います。
この場合も補助金の趣旨からして厳しいでしょう。

5.取り組みが抽象的である
 例えば、ターゲットが決まっていない、商品が決まっていない、独自性が見えない、といったケースです。
 もちろん練り上げていけば良いのですが、やはり主体となる事業者自身に(あとから検討して変わっても良い)、何らかの戦略仮説がない事業は、補助金うんぬんは別としても、成功確率が低いのではないでしょうか。
「何かやりたいからやる」ではなく「誰のどんな痛みを解消したいのか」「誰にどんな価値を提供したいのか」。
 あくまで解決したい課題が起点であるべきで、自分事として何としても解決したい、というものを見つけることが先決だと思います。

では、上記のような案件であればダメかというとそんなことは全くありません。

 事業再構築補助金の申請書は「コロナ禍で厳しくなった事業から、ポストコロナにあった事業に転換する」ためのフレームワークです。

 この補助金へのチャレンジというプロセスを通じて、弱いところを再検討したり、市場調査をしたり、パートナー探しをしたりすることで、ポストコロナに飛躍できるビジネスモデルを磨いていくことができます。

ぜひ、金融機関や認定支援機関のアドバイスを受けながら、足らず部分を明らかにして、この環境変化を絶好のチャンスに変えていきましょう。

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